幸せのちから

格差社会って怖いですね・・・。



観終わって、素直な感想。「いい映画だな。コレ。」

ウィル・スミス親子の熱演に非常に好感が持てた。月並みだけど、現代人が忘れたものが確かに感じ取れはすると思う。なんか、戦後の日本人に近いものがあるんではないか。アレだけの状況で、まだ子供と自分の幸せに希望を失わずに、前向きでいられるってのは、やっぱり「幸せのちから」なんだろうな。



父と子の描写以外バッサリ切り落とした潔い作り。ここらへんは、非常に評価できる。まっとうで、単純な演出ではあるが、こうやって迷いない作りを見せくれる映画は以外と少ない。スノッブな映画に食傷気味な人には新鮮だろう。



でも、個人的に一番衝撃だったのは、当時(1981年だっけ?)のアメリカに、教会の世話にならないと寝床さえ確保できない人が、あんなに沢山いた事。たしかに当時のアメリカは経済的には、相当疲弊してたけど、これには驚く。



そうえいば、以前エントリにした「フープ・ドリームス」は下層社会のドキュメンタリーだったけど、あれも相当衝撃だった。結局の所、アメリカ社会の格差問題は、相当深刻で、いまだ進行中。どれだけ経済が上向こうが、下層社会に生きる人達の生活は、殆んど変わらない。最近は、日本でも格差社会とかいってるが、アメリカの格差問題に比べれは、まだまだ一億総中流である。メディアを通して入ってくる情報では、アメリカ人はみんな郊外の芝生が敷き詰められたでっかい庭付きの家に住んでるが、んな事た〜ない訳である。という訳で、この映画は、日本人にとってはアメリカの影を捉えた、貴重な映像的資料でもある。



また、これ映画は、典型的なアメリカンドリーム映画でもある。アメリカ人が、あれだけ成功者を賞賛するのも、どん底がどれだけ深いかという事をみんなが知っているからという側面もあるだろう。この映画は、そのあたりを的確に表現している。本物のアメリカンドリームって、これだけキツイって事がヒシヒシ伝わる。



で、また格差社会に話題を戻すと、どんだけそこが深くても、ちゃんと努力した人間を拾い上げるシステムがあるアメリカは立派な国でもある。でもって、新卒で就職できないと、選べるカードが1000分の1位になっちゃう日本は、やっぱ怖い国でもある。問題なのは、格差なんかじゃなくて、全ての人間に平等に社会的なチャンスが用意されているかどうかという点なんだ。



でも、そういうつまらん一般論は、ホントはどうでもよくて、大事なのは、生活レベルと幸せが、必ずしも相関関係にあるわけではないという現実(幻想)を、社会が提供できるかどうかって事なんじゃないかと思う。多分、今の日本にその幻想はない。バブルではじけたのは、日本経済だけではないのだ。でも、これも、つまらん一般論か。



とりあえず、強引にまとめると、

心温まる映画なので、オススメです。多くの人は泣くでしょう。



※注意 : 観に行く際は、事前情報は極力仕入れない様に。確実に面白さが半減します。