ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

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そろそろ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』について書かねばなるまいと思う。



各所でいろいろと賛否両論ある様だが、個人的な感想は、すごく良くできた映画だという事。画は間違いなく現時点の最高の水準。ストーリーは2009年という文脈を考えれば十分訴える所はもっていたと思う。まあ、なにしろ映像の躍動感が凄くて、画の動きを目で追っかけているだけで気持ちいいという感覚になる。こういうプリミティブな画が動くだけで面白いという感覚は、アニメーションという表現がもつ大きな特徴だろうけど、それをここまで感じたのは初めてだった。



例えば、「崖の上のポニョ」とかもポニョが波の上を疾走するシーンとか、宮崎駿の真骨頂だろうけど、そういうのは昔の作品(ナウシカとかラピュタとかトトロ)のがもっと沢山あったよな。と思う。※1



※1ポニョはこないだ初めてDVD借りてみたけど、率直に言って良くわからない。。。宮崎駿は迷走している気がしてならない。のでブログでも言及する気にもなれず。。。



ネット各所ではストーリーについての賛否が多いので、まず技術的な視点から話をはじめてみたのだけど、そういう画の躍動感が出せるのは明らかに高い技術力のなせる技なわけで、それだけでも1800円出す価値はあるよなと思う。あとリニューアルされた使徒の造形とかもも、テレビ版に比べても、ものすごくセクシャルになっている。そういう現場力が垣間見れた。



ものづくりの姿勢という意味でも、(第一作目からそうだけど)制作/配給/宣伝を全部やっちまうというのは、凄い事である。もちろん、大人の事情という制約はあれども、作品が観客に届くとこまで全部責任をもって絡むというのは、プロダクトとして責任を持とうとしているのだろう。逆に言えば、現場の人間が納得するものしか作らないという決意表明とも受け止められる。自分も、一応ものづくりに携わる人間だけど、そういうスタンスは見習ねばなるまい。そして、時代は確実に現場が納得して作ったものしか売れなくなってきている。これは結構大きな問題に拡散してしまうので、これ以上は追求しないけど、かなり大事な問題である気がする。



で、肝心のストーリーについてだけど、いろんな人が言うほど、骨格部分はテレビ版と変わってないよなというのが印象。ただ、キャラクター達の性格は明らかに2009年という文脈で調整されているし、物語よりも、物語が進行する世界を丁寧に描こうとしている。(第3新東京市の町並みの長回しとかそうだろう。)



キャラクターの調整という意味で最も顕著なのは、あのメガネ。このまったくヘタレな部分がない清々しさと強さをもっているキャラクターは1995年のテレビ版では全く存在し得なかっただろうと思う。次回作ではきっと鍵を握るキャラなんだろうと思う。



他のキャラクター達も全般的に人間的に非常に強く、かつ、素直になっている。全然ドロドロしていない。で、多分こういうキャラクター造形は、現代のシンジくん達に勇気を与えるものなんだろうと思う。そのメッセージ性は確実にあって、最後の戦闘シーンにそれが顕著だった。これは演出としてはドンピシャだと思う。当時リアルシンジくん世代(そう、14歳という中二病の真最中だった)だった自分からすると、なかなか複雑な気持ちにはなるけれども。。。まあでも、2009年という文脈でみれば、勇気をもらう画であることは間違いない。



全4部作なので、今の時点ではこんな感想しかないけど、確かにめちゃくちゃ興行収入があがっているのが納得出来る作品だった。次回作に期待。