1Q84
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とりあえずの感想。
もう既に各所で話題になってますが、これは続編がある。てか、ないとね。。。と感じてしまう。
Book2では回収されない伏線が多いので。まあ、でもホントに出るか出ないか不明なので、
先読みしても仕方ないし、気長に待ちましょう。
村上春樹の作品を全部読んできた人であれば、いろいろ他作品とのつながりも感じるし、
そういうのを突き詰めていくのも面白い。
中心にあるのはやはりオウム事件。
物語上の宗教団体「さきがけ」のモチーフの一部がオウム真理教があるのは明らか。
(もちろんそれだけじゃないけど)、たしか地下鉄サリン事件は1995年で、
それに関して、村上春樹が書いたルポタージュである、
「アンダーグラウンド」(97年)と
「約束された場所で~underground2~」(98年)から大体10年経つ。
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村上春樹は、どこかで自分はものを考えるの時間がかかるタイプだと言っていた。また、何かをしっかり消化して物語りの形していくには10年くらいかかるとも言っていた。気がする。。。
もしそれを真に受ければ、ちょうど「1Q84」はその表現としてみることは出来る。
あと人称が完全に3人称になったのは印象的だった。「海辺のカフカ」でも人称に変化はあったけど、「1Q84」ではより明確になっている。そのせいか明らかに物語りとして視点(パースペクティブ)は広がりを見せている。描かれる世界は謎を秘めながらも魅力的だと感じさせる。
これだけ売れているのは、まあ驚きだけれど、作品を追うごとにより深く世界(自分自身の外)にコミットしていっている事と呼応して、村上春樹が開陳する世界のあり方に興味を示す人間は増えていっている。そういう側面は多分にあるだろう。
もちろん、「1Q84」は村上春樹の他の作品がそうであるように、何か明確な答えや主張があるわけではない。多分、多くの読者は物語を通して、自分自身の世界観を見つめ直せる何かを求めている。自分もそうだけど。で、そういうパワーという意味では、今村上春樹を上回る作家はいない気がする。
個人的に印象的だったは、終盤の天吾と天吾の父のエピソードだった。
村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ
のエントリでも書いたが、エルサレム賞の受賞スピーチで亡くなった父について語っていた事を思い出した。父との関係性が物語の一つの大きな主題である事は明らかだ。
いまさら自分が勧めなくても、読みたい人は買っているだろうが、
今読むべき本であることは間違いないなし。