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esは怖い。



何が怖いって、人間って状況次第で簡単に狂ちゃって現実なんて全然眼中に入らなくなっちゃうって事が実にリアルに伝わってくるとこ。これは実話がベースになってて、その実験は映画ほど悲惨な最期にはならなかったらしいけど、これより悲惨な例は歴史を見ればゴマンとある。ホロコーストとかね。



多分人間て自分で思ってるよりもはるかに不確かな存在で、状況に流されず自分の判断で動ける人なんてホントに一握りしかいない。あなたは自信ありますか?僕はあんまりない・・・。例えば自分が小学生で、クラスでいじめがあった場合にそれに対してNO!といえるか?この程度なら言える人はいっぱいいるし、何よりも間違った事っていう認識は99%の人がすると思う。でも、これが会社内あるいは大きい組織内での不正だった場合はどうだろう?これはかなり難しい。自分の保身なんか考えはじめるとまずムリなんじゃないかと思う。さらに規模をでかくして、社会全体が間違っていた場合。これは不正を正すどころか、不正に気が付くだけでも大変。ホロコーストなんか今から見れば、ほとんどの人に間違ったことだってはっきり分かるし、言えると思いますが、あの時代のあの状況に中にいたら?自分がもしナチの将校で、虐殺の命令くだされたらNOといえるか?アイヒマンはNOどころか、効率よくユダヤ人を殺す方法を真剣に考えていて、その上罪の意識はゼロみたいですから、これはes以上。



小林秀雄曰く、時代には時代のドグマが必ずあって、その中にいる人はそのドグマから出られないそうです。



因みに、現代のドグマは科学。どんな事でも、科学的に説明されるとみんな納得しちゃう?ぼくもそう。でも、科学の説明ってあくまでも因果律にのっとた一面的な説明に過ぎなくて、他の説明の仕方もあるかも知れない。でも他の説明をされると現代人は上手く納得できない。だからそういうのはオカルトとか迷信とか言われたりもするものもある。



ホントに自分のアタマでものを考えて判断を下すのはとてつもなく大変だ。それが出来てる人は、強い信念を持ってるんだけど、それにとらわれず、状況に応じてその信念に反することができるっていう矛盾した性質ももっている。これ、言葉で言うと簡単そうだけど、なかなか難しい。そうなりたいもんだけど。



という訳で、esは感情移入してみるといろいろ考えざるを得ない。