マネジメント信仰が会社を滅ぼす。

マネジメント信仰が会社を滅ぼす (新潮新書)

マネジメント信仰が会社を滅ぼす (新潮新書)

マネジメントの方法論に拘泥するばかりで弱体化していく組織が、ビジネスをする活力を失っているという現状を糾弾する内容。以下の様な症状があてはまる場合は、読んだ方がいいです。

  • 経営者や管理者が、「あるべき論」や「一般論」を言うばかりで意思を示さない。
  • 意思を示すべき人が議論を本質から外そうとする。細かい事や表現方法にこだわり、議論を集約して、次の段階にうつろうと動きが見えない。あわよくば、うやむやにしようという意図する感じられる。
  • 他社事例やマネジメントの本に書いてあったことによって物事を決めようとする。「他社でもこうしているから」「一般的にこういうものだから」という理由がまかり通るようになる。
  • 体系的な理論や手法を重んじ「経験、勘、度胸」を馬鹿にする。「理論的、客観的」であることが正しく、「経験論や主観に基づく判断」は誤ったものと決め付けている。
  • 「〜戦略」「〜改革」等の用語を好んで使う。「具体的にはどうなるか」よりも、関係者に「どのようにうけとめられるか」「どうすればスマートな表現になるか」ということばかりを気にする。
  • 同じようなテーマのプロジェクトが数年おきに立ち上がる。前回のプロジェクトが中途半端な状態で終わっても、その反省もないまま次のプロジェクトが始まる。
  • 消去法で物事を判断する。いくつかの選択肢をあげて最もリスクの少ないものを選ぼうとする。その結果、ありきたりな案しか選ぶことができなくなっている。
  • 企画、総務、人事、経理、法務、監査等の管理部門が強い。それらの部門が頻繁にルールの見直しを行う。
  • 規定や基準が数多く存在する。それらに書いてあることが複雑で細かすぎる。
  • 些細なことでも届出や承認が必要になる。その結果、管理帳票や書式の数が多くなる。
  • 何事においても内容より形式が重視される。

まあ、大企業はだいたいあてはまるんじゃないでしょうか。自分は大企業じゃないなから想像ですが、あと、今の政府にもほぼそのまま当てはまる。

前半の分析がかなり鋭く、組織の中で閉塞感を感じている人は読んだ方がいいでしょう。後半は、それに対する対策ですが、全体的に「がんばろう」トーンになっていて、著者自身もまだ暗中模索という感じなのでしょう。

個人的には、がんばろう」というトーンで暗中模索で生きてばいいじゃんという所です。